犯罪予告
犯罪予告の説明
犯罪予告(はんざいよこく)とはなんらかの犯罪を行うと予告することで構成される犯罪行為。場所・日時などを特定した爆破予告や、個人名などを名指しした上での殺傷予告など。犯行予告(はんこうよこく)ともいう。
犯罪予告と刑罰
通常は脅迫罪に問われるが、爆破予告や無差別殺害予告の場合、脅迫の対象が広範囲に及ぶため、警備機関への業務妨害などに問われることもある。詳細に分けると以下のようになる。以下は予告を実行しない場合も犯罪に問われる。
* 特定の個人を脅迫した場合 - 脅迫罪
* 嘘の情報などを用いて業務を妨害した場合 - 偽計業務妨害罪
* 暴力的な表現を用いて業務を妨害した場合 - 威力業務妨害罪
* 上記3項目に当てはまらなくても、悪戯目的でやった場合 - 軽犯罪法違反(業務妨害)
最近では、予告によって警備を増強せざるを得なくなったとして、警察に対する偽計業務妨害の容疑で逮捕される例も増えている。また、実在しない場所に対する予告や、犯罪予告であるかのように誤読させるといった、文面どおりに読むと実行不可能、または意味がない場合でも罪に問われることがある。
弁護士の杉本智則は、「現実に社会に大きな結果を生じさせている以上、逮捕や有罪を免れる弁護方法は存在しない」といたずら目的の犯罪予告を非難している。
日本における犯罪予告の歴史
インターネット普及以前
インターネット普及以前は、相手方に手紙を送りつけるなどして害悪を告知し、脅迫罪に問われた事例が多い(口頭での害悪告知が脅迫罪に問われた事例も多いが、「犯罪予告」の範疇からは外れるものと考える)。
インターネット普及後
旧来の犯罪予告は、予告対象に手紙や電話を送りつける形態がほとんどだったが、インターネットが普及すると、掲示板サイト、ウィキサイトなどで犯罪予告が書き込まれる事例が増え、逮捕者も続出している。容疑者は、警察の依頼等でサーバが開示したIPアドレスと、インターネットサービスプロバイダが所有する住所・氏名などの情報から特定される。他人の無線LANからアクセスした書き込みで逮捕されるケースもある。
2000年(平成12年)5月3日に発生した西鉄バスジャック事件では犯人が掲示板サイト2ちゃんねるに犯罪予告ととれる書き込みを行っていた。このことが大きく報道されてからは、誘発されるように、2ちゃんねるに犯罪予告を書き込んで逮捕される人間や、それを実行に移し逮捕される人間が続出した。
大きな事件があると、2ちゃんねるに頻繁に書き込まれている殺害・襲撃予告と事件の関連性を関係機関がチェックしているとされる他、警察庁のサイバーフォースが定期的に検索を掛けるようになった。この検索を逃れるために「殺す」を「投す」、「頃(ころ)す」と書き込む者も現れているが、文章内容から殺害予告と判定されることがほとんどである。
2008年(平成20年)6月8日の秋葉原通り魔事件でも携帯サイトの掲示板で予告が行われており、犯行直前までの経過が詳細に実況されていた。この事件以後に同様の通り魔事件が多発したことや、犯罪予告そのものが増加したことにより、犯罪予告への対処が社会全体で重要視されるようになり、いたずら目的も含めて厳重に処罰されるようになった。事件後の3ヶ月間で66人が逮捕されている。6月11日には総務大臣が犯罪予告の検知を目的としたシステムを開発する意向を示し、その翌日には民間有志による犯罪予告情報共有サイト「予告.in」が公開された。警察当局は犯罪予告をみたら110番通報するように、掲示板運営者を通じて呼びかけている。
また、殺害予告や襲撃予告に限らず、そのほかにも多種多様な犯罪予告がなされている。たとえば、2010年1月には、「ズボンをはかずにJR山手線に乗ろう。10日午後1時に大塚駅に集合」と呼びかける檄文が、インターネット上に書き込まれた(公然わいせつの予告)。この事態を受け、巣鴨警察署では厳戒態勢を敷き、署長が自ら指揮杖を執り、60名あまりの警察官を率いて巣鴨駅を警戒する騒動となった。
ウィキペディア上での犯罪予告
ウィキペディアの特質上、誰でも編集が可能なため、2008年以降大手マスメディアが伝えた日本国内での犯罪予告の投稿は2年間に10件、3人の逮捕者が出ている。
尚、ウィキペディア上で犯罪予告を発見した場合は、Wikipedia:管理者伝言板/投稿ブロック#犯罪行為またはその疑いのある投稿に記載されている通り関係機関に通報を行い、混乱を避けるために通報後から対処完了の告知が出るまで該当部分への記述をそのままにしておくようにとのことである。また、ウィキペディア管理者に通報義務を負わせない、つまり見つけたら即、通報するようにとのことである。
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