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アクセス禁止

アクセス禁止の説明

アクセス禁止(アクセスきんし)とは主にコンピュータネットワーク上で、特定のデータやリソースに通信接続する事を技術的に禁ずる事、またはその状態を指す。

俗に「アク禁」と略される。

狭義には、インターネット等において、掲示板やウェブサイト(ホームページ)等といったサービスへの、特定経路からの通信・接続に応じない事を指し、主に荒らしなどの迷惑行為に終始する、性格的な問題のある利用者の利用を封じる目的で行われるコンピュータ設定上の操作を指す。

掲示板上では、アクセス禁止のことをアクセス規制と呼ぶところもある。

概要

一般的な概念上、インターネットに接続されたサーバとなっているコンピュータの中に収められた公開情報や公開リソース(資源・資産)は、誰にでも利用する事が可能な状態にある。しかし中には、倫理的にそれらの情報に触れるべきでは無い人や、他の利用者を保護するために、締め出すべき種類の人がいる例もある。

コンピュータネットワークにおいては、通信相手がどのような通信経路を辿って接続しているかを調べる事は、基本仕様の上で非常に容易く設計されており、またそれらの仕組みも充実している。この通信経路は大抵の場合、特定の誰かが使っているパソコンは、何処から接続しているかは大体決まっているため、IPアドレスを使い、ある一定範囲内のIPアドレスからの接続を拒否する、または特定のIPアドレス範囲外からの接続を拒否すると云った方法でコンピュータを設定する事で、アクセス禁止を行う事が可能である。

なおインターネットにおいては、リモートホストのグローバルIPアドレス(インターネット上における一意のアドレス)はインターネットサービスプロバイダが接続のたびに割り振っているため、モデムの電源を落としてから再度入れることで簡単に変えられるほか、プロバイダによっては通信の無いときは一定時間ごとに切り替えを行うこともあるため、単一アドレスのブロックでは余り意味が無い場合もあるが、CATV等一部のサービスでは固定のIPアドレスを割り振る場合も多く、更には一連のIPアドレス範囲にブロック指定することも可能なため注意が必要で、しばしば荒らしや迷惑メールといった宣伝行為などの問題に関連して、同じプロバイダを利用しているだけの無関係な利用者が巻き添えを受けるケースもまま見出せる。

また、IDとパスワードを使って、特定のユーザーのみを特定の情報提供場所に受け入れる設定を施す事も可能であるため、このIDとパスワードを持たないそれ以外の人を、アクセスできない状態に保つことも可能である。逆に所定の利用者がそのコンピュータが提供する情報や機能を利用できないよう締め出してしまうこと(一種のロックアウト)も可能である(後述)。

国家によるアクセス禁止

中華人民共和国では金盾を運用、同国内に提供されるインターネットの情報に制限を掛けていることが知られている。この中ではGoogleなど大手のサービスも制限を受けることからelgooGなど迂回路を設置する者たちの活動もみられる。

北朝鮮では海外のサイトの接続を禁止している。ただし朝鮮総連のサイトの接続は禁止されていない。

キューバでは海外のサイトの接続は国家による許可制となっている。

大韓民国では国家保安法の規定により北朝鮮が関わっているサイトの接続を禁止している。

タイ王国ではYouTubeのアクセスを禁止している。その理由はタイ王室を冷やかす内容の動画を削除するよう要求したのに対しGoogleが応じなかったことが原因とされている。

パキスタンでも同上サイトのアクセスを禁止している。その理由はイスラム教預言者ムハンマドの漫画が掲載されていることが原因といわれている。

建物・施設でのアクセス禁止

企業や公共団体などでは、業務中の従業員らによる業務に関係の無いウェブサイトへの接続を制限していることがある。こういった場合には業務態度への評価にも絡み、減給や解雇など処罰を伴うケースも度々報じられている。日本では2ちゃんねるに社会から部外秘の情報を書き込んだり、国家公務員など公職の立場にあるものが勤務中にWikipediaの記事を編集した事件も聞かれる一方で、特定のサイトへの接続を制限することもしばしば行われる。

この他、通常のウェブブラウザや電子メール以外の通信をシャットアウトする場合も見られる。例えば個人情報漏洩などの事件に絡んでPeer to Peerクライアントの通信を制限したり、或いはインスタントメッセンジャーソフトウェアの通信、またVoIPクライアントによる通信も制限している場合もある。特に予期されないポート番号を使った通信などは制限される。

コンピュータ利用者に対するロックアウト

一般的な用語としてのロックアウトは、交渉の手段として所定の施設や設備の利用を制限することだが、コンピュータ用語(コンピュータセキュリティ)におけるロックアウトでは、少々別の意味で用いられる。

この場合のロックアウトでは文字通りの「締め出し」で、コンピュータの利用に際して必要なアカウントの凍結などを指す。これは様々な理由により行われる事があるが、大抵の場合は利用規約に反して使用した場合や何等かの迷惑行為を行った利用者のアカウントに対して、管理者が行う措置である。

多くの場合は一過的な措置で利用者の反省を促したり、感情的に成り過ぎた利用者に冷静になる期間を与えるために行われる。しかしこの警告を無視して同様の行為を繰り返す場合には、アカウント剥奪やアクセス禁止といったより厳しい措置がとられるが、このアカウント剥奪も含めてロックアウトと表現する。

例としては、インターネット・サービス・プロバイダの迷惑メール送信者への対応が挙げられる。迷惑メールの送信者に対しプロバイダ側は止めるように求めるが、それでも止めない場合は利用規約を楯にサービスの提供を打ち切り、アカウントを抹消してしまう。

利用者の利益を守るための締め出し

またこれとは全く別の場合としては、利用に際してのアクセス手順において(別々の)誤ったパスワードを繰り返し入力した場合などに、不正な利用を防止する意図で一時的に利用を差し止め、正当な利用者の権利を守るために行われる事もある。この場合には、正当な利用者にメールや電話・封書等で連絡を取って本人確認を行った上で、誤ったパスワードを繰り返し入力してきた者が当人であればアカウント回復を、当人以外の不正アクセスが疑われる場合には、アカウント移動や変更を提案するなどして利用者の利益を保護する。

この場合の例としては、銀行のキャッシュディスペンサーや現金自動預け払い機などの対応が挙げられる。この装置は銀行預金者の財産を保護するため、所定の回数[1]暗証番号を間違えるとキャッシュカードを入手した第三者が不当にカードを悪用して、預金者の財産を盗もうとしていると判断し当てずっぽうの暗証番号で預金が引き出されないようにとカードを取り上げた上で、操作を受け付けないように設計されている。その上で間違って暗証番号を入力した相手が預金者本人か、銀行員が直接会って確認した上でカードを返却するという手順を行っている。

問題点

技術的にはアクセス禁止対象として特定のホストコンピュータやアクセスポイントといった細かい設定も可能だが、より広範囲に特定のプロバイダ、更には特定の国からの接続を締め出す事も可能である。しかし本来は、自由に門戸を開いて居る筈のインターネットにおける、一種の差別にも繋がりかねないため、一律に締め出すのは倫理的な問題を含む。

過去には国内屈指のアクセス数を持つ2ちゃんねる上において幾度か、特定プロバイダからの接続を一斉に拒絶したり、2003年7・8月にはAOLが自社サービスのユーザー宛に特定のプロバイダから送信された電子メールを締め出してしまい、一部では混乱も生じた。

これら特定プロバイダ締め出しの原因と成ったのが、俗にスパマー(Spamer: 迷惑メールなどのスパムメッセージ送信者)と呼ばれる、事前承諾無く広告を送り付けて回るユーザーの所為であったが、この問題を受け、締め出されたプロバイダは、これら迷惑行為の常習者に警告を送り、従わなければ契約を解除する等の、前述のロックアウトを行うといった強硬手段に訴えている。

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